【よく間違える敬語】例文・言い換えまとめ!

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「敬語」とは相手を敬うことです。しかし、よく見聞きする言葉でも「使わない方が良い」や「間違ってはいない」など意見が分かれている言葉があります。そこで「文化庁の敬語の指針」や「秘書検定」のサイトなどを参照し、よく間違える敬語について言い換え例文も含めてまとめました。

よく間違える敬語(尊敬語・謙譲語の間違い)

ビジネスシーンでよく見聞きする言葉にも、「間違い敬語」がいろいろあります。
お客様に対して丁寧な言葉を…と思うと逆におかしな文章になった例を取り上げます。

謙譲語 = 相手に対して自分が行動する(へりくだる)
尊敬語 = 相手が行動する (敬う)

「窓口で伺ってください」=✖

窓口で伺ってください

窓口でお尋ねください/窓口でお聞きください

「伺う」=「尋ねる」の謙譲語
「尋ねる」のは相手の方なので、尊敬語の「お尋ね」や「お聞き」を使います。

引用:文化庁 第四話「間違いやすい敬語(1)~尊敬語 VS 謙譲語I」理解度チェックの解答 第2問

「いただかれてください」=✖

いただかれてください

召し上がりください

「いただく」=[食べる」の謙譲語
「食べる」のは相手の方なので、尊敬語の「召し上がる」

 ちなみに「お召し上がりください」は
「お」「召し上がる」の二重敬語で本来は間違った使い方です。しかし、近年は多用され許容範囲内とされつつあるようです。

 しかし、「お召し上がりになられてください」
こちらは「お」「召し上がる」「られる」の三重敬語

二重敬語

二重敬語もよくある敬語の間違いのひとつです。文化庁の説明をまとめると次の通りで、ここでいう二重に使う敬語とは、「尊敬語+尊敬語」または「謙譲語+謙譲語」です。

二重敬語」とは、一つの語に同じ種類の敬語を二重に使うことをいいます。

例えば、
「お読みになられる」は
「読む」というひとつの語に対して尊敬語は「お読みになる」です。
そこに「…れる」という尊敬語も付け加えてしまうと二重敬語になります。

ただし,語によっては習慣として定着しているものもあります。
習慣として定着している二重敬語の例
・(尊敬語)お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語I)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる

引用:文化庁 第四話「間違いやすい敬語(1)~尊敬語 VS 謙譲語I」理解度チェックの解答

「おっしゃられる通りです」=✖

おっしゃられる通りです

おっしゃる通りです

「おっしゃる」「られる」の尊敬語の二重敬語です。

宛名の二重敬称

宛名にも「二重敬語」ならぬ「二重敬称」があります。メールやビジネス文書でこちらもよくある間違いです。

「役職」+「様」=✖

〇〇部長様

〇〇部長 / 部長の〇〇様

役職も敬称のため
「役職」+「様」も同じく二重敬称です。

「ご担当者様」+「各位」=✖

ご担当者様 各位

ご担当者各位

「各位」=「皆様」
「各位」と「様」は敬称のため、「各位」の後ろに「様」は不要です。

meeting

(さ)せていただきます

「(さ)せていただきます」という表現は、「許可」を得ることによって「恩恵」を受けるという条件をみたせば正しい敬語です。

しかし、条件を満たしても二重敬語になると使えません

なんだか混乱してきますね。
明確に判断がつかない場合には、「させていただく」という言葉を避けましょう。別の言葉に言い換えたほうが無難かもしれません。

文化庁の解説を要約すると下の通りです。

「(お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は
基本的に自分側が行うことを

ア)相手側又は第三者の許可を受けて行う
イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合

したがって,ア),イ)の条件をどの程度満たすかによって,「発表させていただく」など,「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,あまり適切だとは言えない場合とがあります。

引用:文化庁 第三話「敬語のTPO~依頼の仕方~」理解度チェックの解答【4】

「発表させていただきます」

あまり適切だとは言えない場合
相手側に発表する「許可」を得ていない、または不要な場合

適切な場合
相手側に発表する「許可」を得て、発表することで自社アピールなどの「恩恵」を受ける場合

正しい使い方

手続きを進めさせていただきます

相手側に手続きを進める「許可」を得る
→ 契約や売上という「恩恵」を受ける

日程の変更をさせていただきます

相手側に日程変更の「許可」を得る
→日程を変更するという「恩恵」を受ける

休暇をとらせていただきます

社外:NG
 社外の方に「許可」をとるのではありません
 社外へは「休んでおります」という方が良いでしょう。

社内限定:OK
 上司に休暇の「許可」を得る
 →休暇という「恩恵」を受ける

「させていただきます」は 二重敬語

「させていただく」の二つの条件(第三者の許可、恩恵)を満たした内容でも、「二重敬語」は使えません。また、「尊敬語+尊敬語」だけではなく「謙譲語+謙譲語」も二重敬語です。

「させていただく」は謙譲語のため、その前の言葉が謙譲語だと二重敬語になります。

連絡させていただきます

ご連絡します/連絡いたします

お伺い させていただきます

伺わせていただきます

伺います(「行く」「聞く」両方に使えます)
「行く」 参ります
「聞く」 お聞きします お尋ねします 拝聴します

間違った使い方・言い換え

本日は休業させていただきます

本日は休業いたします

自社(店)の休業は第三者に許可を得てすることではないので間違いです。

確認させていただきます

確認いたします

相手の許可を得て確認する場合は間違いではありません。しかし、そうではないなら言い換えましょう。

とんでもございません=✖

とんでもございません

とんでもないことでございます/恐れ入ります

「とんでもない」で一つの言葉です。
「とんでも」と「ない」を二つに分けることはできません。

話し言葉と書き言葉の違い

ビジネス敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語のほかに、同じ意味で「話し言葉」と「書き言葉」があります。また、書き言葉は感じではなくあえてひらがなで書く場合があります。

話し言葉書き言葉
御社貴社
弊社(謙譲語 社外に対して)
当社(尊敬語 社内に対して)
弊社(謙譲語 社外に対して)
当社(尊敬語 社内に対して)
すいませんすみません
申し訳ございません
(文頭)なので~ですから
ですので
致します/いたします
下さい/ください
頂く/いただく

「御社」と「貴社」

両方とも相手の会社や取引先という意味ですが、単純に話し言葉か書き言葉の違いがあります。

「御社」=話し言葉
「貴社」=書き言葉

「弊社」「当社」「自社」

自分の会社「弊社」と「当社」は話し言葉・書き言葉どちらでもつかえます。

弊社=謙譲語
社外に対して、自分の会社をへりくだった言葉
話し言葉・書き言葉両方使用可

当社=丁寧語
社内に対して、「自社」より丁寧な言葉
話し言葉・書き言葉両方使用可

自社=尊敬語でも謙譲語でもない
文字通り自分の会社の意味
社内でつかう言葉(社外に対してはあまりつかわない)

漢字表記・ひらがな表記

公用文のルールでは、漢字表記とひらがな表記は次のように使い分けされています。

「漢字」表記
(動詞)
自分が動作をする
「ひらがな」表記
(補助動詞)
相手にしてもらう
こちらで対応致します
ご連絡致します
お願いいたします
領収書を下さい
カタログを下さい
ご連絡ください
ご検討ください
資料を頂く
食事を頂く
対応していただく
手伝っていただく

まとめ

「敬語」とは相手に対する敬意を表す言葉です。

しかし、敬語は場面や立場によるルールがたくさんありますが
・ルール上「適切」であっても使わないほうが無難
・本来は間違った表現だけど「習慣として定着している」
という場合もあり混乱しますよね。

臨機応変に敬語を使いこなせるとコミュニケーションも円滑に進んだり、クレームを未然に防げたりするでしょう。ルールは変わっていきますが、相手を敬う気持ちを最優先に敬語をマスターしていきましょう。